dragoncry

生活

確かなものなど何もない

関東は雨。梅雨といいつつ夏のように暑いし、水不足が心配になってしまうので、雨は鬱陶しいけどなんだかんだ安心する。

転職活動がちょっとずつ進んでいくにつれ、この電車に乗るのは、この街を歩くのは、この八百屋に買い物に来るのはあと何回だろうか、と考える。私は今の仕事がやりたくて関東に出てきたけど、正直、都会でたくさん遊ぶぞ!という気持ちもあって上京してきた。最初は満員電車も、これが噂の!と思ったし、数十分の移動でなんでも揃ってる街に出られるのは楽しかった。でもそれは、消費活動が好きで楽しくて自分への刺激になっていたからだと思う。

 

私はコンテンツにハマって生きてきた人間で、思春期以降、アーティスト(バンド)が好きで15〜6年、その途中から漫画やアニメにハマり5年、バスケ観戦にハマり1年半。アーティスト、漫画、アニメは圧倒的に都会での楽しみが多い。

ライブはとにかく数が多い、いくつか好きなアーティストがいれば毎週ライブ、月6でライブハウスに通った時もあった。地方にいるときは地元にいつも来るわけではないので遠征メイン、となると回数をこなすことはできなかった。でも関東にいると住んでいるだけで大して費用もかけずに行けてしまう。逆に言えば有り難みがなくなってしまった気はする。いつも近くでライブをやっているせいで満たされて、好きなアーティストを見に遠くまで行くことも無くなった。どうせまた戻ってくるしその時に見ればいっか。あとSNSでファン同士で繋がり合うと、その人に会いたいわけではないのにライブに行く度に見かけることに嫌気がさしてしまったこともあった。(売れないアーティストのファン界隈は狭い)

感染症云々もあったけど、都会にきて数の力を見せつけられた結果、疲れてしまったのかもしれない。

次は漫画とアニメ。漫画はゴールデンカムイを完結まで見られたので後悔はしていない。アニメは鬼滅の刃。鬼滅は映画でハマったクチだけど映画のあまりの爆発力に一瞬で熱量が上がって一瞬で冷めてしまったという感じ。グッズたくさん買ったなあ。好きだった時はすごく楽しかったけど、あの業界のえげつない売り方に疲れた。購買意欲の搾取とすら感じた。SNSで毎日流れてくるイラストが一瞬で流れて何を見たのか思い出せなくなってしまうことにちょっとした恐怖も感じた。それでも好きだったけど、爆発的な熱量っていうのはいずれ収束するんだよね。

それに比べてバスケはいい。ほとんどの都道府県にチームがあるし、試合の半分はホームゲームだから地方で楽しめるし、私は転職を経てまたライブが好きだった初期のスタイルへと戻っていくんだと思う。それで10年以上楽しんできたし、他のことをやる暇もないと飽きてしまう気もする。

 

とにかく、もう満員電車も、箱みたいな狭い部屋も、高い家賃もおさらばしたい。ワクワクして上京してきた気持ちが今や一ミリも残っていないっていうのは自分でもびっくり。

 

そもそもだけど、私のように仕事への向上心がない人間はもしかしたら都会に出るべきではなかったのかなとも考える。やりたい仕事があったから出てきたけど、続けるほどの熱量はなかった。というか無くなった。

でもそういうフェーズなのだろう。あの情熱は確かにあった。生活に関わることをトータルして考えた時のバランスが、これではないな、に変わった。

 

ずっと変わらないと思っていたアーティストへの気持ちが無くなった時「この気持ちは『変わらないものではなく変わるもの』であった」ということを思い知らされた。ずっと続くと思ってたのに自分に裏切られた気すらする。そこから、自分の気持ちがいつまで続くか、ということに自信が持てなくなってしまった。もういずれ変わっていくのだろうとしか思えない。

でもそれは仕方のないことだと思う。そういう自分の気持ちの変化を誤魔化して生きるか、向き合って対処するか、それもフェーズによって変わる。

だから次私の気持ちが変わった時、変わったことに気づかなかったことにするか対処するかは分からない。

人生、絶対コレだ!と決めつけない方が良いのかな。とはいえ人の本質なんて変わらないと思うので、今後も私は胸をときめかせたり、その熱がなくなって彷徨ったりを繰り返して生きていくんだろうな。せめてそのバイタリティだけはずっと持ち合わせていたいけど。